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鉄ヲタ夫と歴女妻の鉄道オタク旅

鉄ヲタ夫と歴女妻の鉄道オタク旅~いわくつきの月見櫓1

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大天守を見終わった私達は辰巳附櫓を通り月見櫓へと向かった。松本城の他の部分は戦国時代に作られたものだが、この辰巳附櫓及び月見櫓は江戸時代になってから作られたものだ。それ故他の場所には設置されている石落は無く、普通の板張りになっている。
東西四間×南北三間、柱と舞良戸(横に桟を打った薄い板戸)のみで構成されたの月見櫓は北、東、南の三方が開口部になっている。月見をする際は舞良戸を外し、畳敷きの部屋で東から昇る月が眺めていたようだ。更に三方を朱漆で塗られた刎ね勾欄を施した回縁が巡らされている。
戦う城そのものと言ってもいい松本城に、この様な雅な櫓が作られたのには勿論理由がある。それは徳川家光の来訪である。寛永11年に上洛した家光は、その帰り道に善光寺参拝を願い、宿城として松本城を宛てると言い出したらしいのだ。となると大変なのは迎える側である。
時の松本城主・松平直政は急遽寛永10年から普請にかかり家光来訪に備えたという。どれくらい前に家光の来訪予定を知らされたかは定かではないが、将軍を迎える建物を造るとなると一年という期間は短すぎるのでは?と素人でも思う。少なくとも1つの建物を丸ごと造るのは無理だろう。
山国で木材は沢山あるかもしれない。だが木材を使えるように乾燥させ、加工するのだけでも数年がかりの仕事のはずである。将軍を迎えるにあたって失礼のないレベルの木材を集め、知識と技術を持っている大工を雇い、将軍来訪の期日に間に合わせるというのはかなりの無茶振りだ。
もしかしたら新国立競技場をオリンピックに間に合わせて完成させるよりも無茶なミッションだったかもしれない。だが間に合わせなければ改易やお取り潰しに遭うに違いない―――勤め人ならぬ大名の辛いところである。きっと松平直政もかなり悩んだことだろう。
まずは将軍来訪に間に合わせること、そしてある程度の格式は備えること。この二つの条件を満たしたのが月見櫓だったのかもしれない。だがこれだけ頑張ったにも関わらず、その努力は無駄になる―――とある理由によって家光は松本を訪れることが出来なかったからである。



(8/7~8/13 twitterにて掲載)

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大天守に続く月見櫓ですが、ここだけ平和な時代に造られております。その理由は本文に記述したとおり・・・どれくらい前に将軍来訪を告げられたかは定かではありませんが、一年前から準備を始めたということは、かなりギリギリに来訪を告げられたのでしょう(-_-;)
本来ならば将軍を迎えるための建物を造るくらいはしたいところなのでしょうが、それだと間違いなく資材も工期も足りない・・・天守に付随した月見櫓はきっと苦肉の策だったに違いありません(>_<)
しかしこれだけ慌ただしく、大変な思いをして造った月見櫓だったにも拘らず将軍・家光は松本城に訪問することはありませんでした。さてその理由は・・・明日からの連載にて書かせていただきますヽ(=´▽`=)ノ
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