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湘南歳時記

湘南歳時記~如月の曽我梅林3

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近くで嗅ぐ白梅は程よい香りを漂わせていた。だがやはり紅梅よりはやや香りが弱い、というか上品な気がする。起伏が激しい地形故なのか、それとも吹いている春風の影響なのか、排ガスの匂いさえかき消してしまう強力なインパクトは目の前の白梅からは感じられなかった。

「やっぱり紅梅の方が香りが強いのかな。まだ殆どが蕾なのに向こうのほうが香り強かったよね?」

私は白梅から顔を離しながら彼に語りかける。

「そうだね。種類の違いかな?あと風もあるかもね。道路ほど匂ってこないし」

彼も周囲を見回しつつ尤もらしく頷いた。しかし現代のように強い香りが日常的にあるのならいざ知らず、淡い香りのものが殆どだった昔の人達は梅の香をどう思っていたのだろうか?再び香りの強い紅梅の方へ足を向けながら疑問に思う。

(もしかして桜に人気が奪われたのはこの香りの所為もあるんじゃ無いか?)

現代人でも暴力的に強いと思う梅の香だ。強い芳香に慣れていない昔の人々が見た目が華やかな上に香りが穏やかな桜に流れていったのも致し方がない。そう言えば梅見に出向いたのは文人墨客、いわゆるインテリが殆どだったらしい。となると土方歳三もその仲間と数えて良いのだろうか。

(何せ庄屋の息子だしな~。俳句もやっていたし文人墨客の一人と言えなくもないか。大人げないエピソードもあるけど)

漢詩にも古歌にも取り上げられている梅である。知識人を気取るのであれば華やかだけど軽薄さが伴ってしまう桜ではなく、文学の香り漂う梅を贔屓にしたのも頷ける。
そう言えば徳川の紀州や水戸も梅と縁が深い。こちらは薬草学の関係もあるのだろう。花も香りも豊かで、実は食用にも薬にもなるオールマイティな花は権力者が好みそうだ。というか健康ヲタクであった家康も梅の花を好んでいたかもしれない。

(梅は意外と歴史がつきまとうな・・・それを知ってからのほうが楽しめそう)

だからこそ文人墨客が好んだ花なのだろう―――そんな思いを抱きつつ、私達は濃厚な香り漂う梅林を後にした。




(2/19~2/26 twitterにて掲載)

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『如月の曽我梅林』編は今回で終了になります(*^_^*)因みに今回の話を書くため、曽我梅林のHPにアクセスしたのですが、あそこの梅林、ほぼ白梅だと言うんですよ・・・あの紅梅は何だったのだろう(-_-;)たまたま入り込んだ場所一帯が紅梅の場所だったのかなぁ。かなり香りのインパクトが強かったんですが、紅梅が曽我梅林のごく一部だったと知って驚きました(@@)
最近は梅見をしていないのですが、また落ち着いたら曽我梅林、行ってみたいものですねぇ(*´ω`*)

明日からは3月編『弥生のしらす』を始めさせていただきます(*´ω`*)
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