「紅柊(R-15~大人向け)」
戊戌・春夏の章

鳥追と若侍・其の参~天保九年一月の欲望(★)

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 仄暗い行灯の灯りが絡み合う男女の影を障子に映し出す。うつ伏せになり高々と尻を掲げさせられているその影は引き締まった男のものだ。その一方、ゴツゴツとした棒状のものを手にし、それを高々と掲げられた尻に宛てがっているのは、潰し島田の女の影である。

「さぁて、伸吾様。お望みのものをあげましょうかね」

 お春は獲物を喰らおうとする狼のごとく舌舐りをすると、伸吾の菊座に宛てがったとんこつの煙管入れをぐいっと押し込んだ。すると歪な瘤がいくつもあるとんこつの煙草入れは、それほどの抵抗も見せず伸吾の息づく菊座へと呑み込まれてゆく。

「ああっ、これ!この形、利親兄者の・・・・・・ああんっ!」

 この場にいない男の名前が伸吾の口から零れ落ちる。どうやらこの煙管入れの元々の持ち主は伸吾の念者だったようだ。己を忘れさせない為か、それとも伸吾自身を慰めるためかお春には判りかねる。
 だが、この煙管入れを菊座に感じることにより伸吾は背徳感に燃え上がるのだろう。今まで以上に激しい声を上げながら、自ら尻を振り立てている。

「どうだ、伸吾?利親さんの煙管入れで見ず知らずの鳥追に犯されている気分は?あの頃を思い出すだろう。浮気がバレてその罰として俺達に嬲りものにされたのを」

「や、やめて・・・・・・」

 だが、口から吐き出される否定の言葉とは裏腹に、伸吾の菊座は挿入された異物を更に強く締め付け、熱り立った逸物からは透明な先走りがぽたり、と垂れ落ちた。嬲られ、虐められるほど伸吾は昂ぶるようである。そんな伸吾の逸物を見やりつつ、誠五郎は更に言葉で伸吾を辱める。

「何が『やめて』だ。こんなに逸物をでかくしやがって・・・・・・心の中じゃ利親さんを慕っていても、お前の身体は肉欲を求めちまうんだ、諦めろ。屈強な男数人に犯されても、反省するどころかもっともっとって強請ったのを忘れたのか?」

 そう言いながら誠五郎はおウメを一引き離し、伸吾の近くにやって来た。

「そろそろいい頃合いだろう。姐さん、またちょっと手伝ってくれ」

 誠五郎はお春と場所を変わると、差し込まれていた煙管入れを一気に引き抜いた。

「はぅぅ!」

 ゴツゴツとした瘤が伸吾の内壁をえぐり、伸吾は艶めかしい嬌声を上げてしまう。そんな伸吾に隙を与えぬまま、誠五郎は伸吾の菊座に己の逸物を突き入れた。さんざん嬲られていたこともあり、伸吾の菊座は難なく誠五郎の逸物を呑み込み、磯巾着のように絡みつく。

「姐さん、このまま伸吾のものを手でしごいてくれないか?」

 だが、お春は誠五郎の要求をやんわりと断った。

「それよりもっと面白いことが出来ますよ、お武家様」

 お春はにやりと笑うと、するりと四つん這いになった伸吾の下に滑り込む。そして女のように紅に凝った乳首に軽く歯を立てた。

「ああっ、いいっ!」

 軽い刺激ではあったが、伸吾にはかなりの快楽をもたらしたらしい。頤を仰け反らせ、更にお春の口許に胸を押し付けるように体を反らした。その反応を確認しつつ、お春は歯と舌で伸吾の乳首を弄び続ける。

「いっそ『女』なら『女』らしく誠五郎さんのものだけでいかせちまいましょうよ。噂には聞いたことがあるんですけど、見たことないんですよねぇ、『ところてん』って」

 『ところてん』――――――つまり男の逸物には一切刺激を与えずに、菊座や他の性感帯への刺激だけで精を放たせるものである。お春はそれが見たいと誠五郎に言い出したのだ。とんでもない要求だったが、誠五郎はあっさりとそれを許諾する。

「悪い女だなぁ、姐さんも。だったらしっかり見ておけよ」

 誠五郎はそう言って激しく腰を動かし始めた。だがすでに何回か精を放っている伸吾である。流石に熱り立ってはいるが、なかなか精を放つことができない。

「ちょいとさっきやりすぎちまいましたかねぇ」

 なかなか射精しない伸吾の逸物を見つめながらお春が尋ねる。

「いいや、そんなことはないさ。上手く気を逸しているんだろ、こいつは」

「そ、そんなこと、ありませ・・・・・ひゃあっ!」

 伸吾が思わず悲鳴を上げる。弁解をしている最中、いつの間にか回復したおウメが近寄ってきて伸吾の背中に唇を這わせ始めたのである。流石に三人がかりで与えられる刺激には耐えきれない。あられもなく尻を振り立てながら、伸吾はとうとう精を放ってしまった。

「取り敢えず伸吾はこんなところかな。あとは姐さんをほったらかしにしていたから・・・・・・」

 ぐったりと横たわり、荒い息を整えている伸吾に羽織をかけた誠五郎の矛先が、まだかなり余裕がありそうなお春に向きかける。だがお春は『お気遣いでしたら結構』とやんわりと断る。

「お武家様がご満足されているのでしたらお気遣いなく。わっちまで溺れちまっては支払いのやり取りもままならなくなっちまいます。どうやらお武家様は相当な手練とお見受けいたしましたし」

「そりゃあ買いかぶりすぎだ。俺より色事が上手い男なんざいくらでもいるぞ」

 そう言いつつも誠五郎は無理強いをしなかった。そのあたりが江戸の水に馴染んだ江戸詰の武士らしい。本来であればこの余韻を残したまま撤退したいところだが、いかんせん木戸は閉まっている時間だ。

「今夜はこの辺でお開きかな。衝立を立てるから、姐さん達は窓側で休んでいてくれ」

「おや、いいんですかい?わっちらとしてはありがたいですけど」

 普通、こういった場合は男女組になって寝るものだとお春は言外に匂わせたが、誠五郎は『問題ない』と言い切った。

「久しぶりに伸吾の『男』を満足させて貰ったからな。あと、もしかしたら夜中に迷い込んでくる奴がいるかもしれねぇが、それは無視しておいてくれ」

「夜中?」

「衝立の向こう側で聞き耳立てていればそのうち判る」

 意味深な誠五郎の言葉が気になったが、それ以上は追求せずお春とおウメは衝立の反対側に改めて布団を整えそこで横になった。



 夜中に迷い込んでくる奴がいる――――――誠五郎の意味深な言葉の理由は半刻もしないうちに現実のものとなった。

「おう、だいぶお楽しみだったようだな誠五郎、伸吾」

 お春たちが寝入った頃を見計らったのか、誰かが戸を開く音がした。気配からすると複数人らしい。

「ああ。こいつにもたまには『女』を味あわせてやらねぇとかわいそうじゃねぇか」

 部屋に上がり込んでくる気配に対し、誠五郎も言葉をかける。

「しかし普通だと女を知るともう少し男臭くなるもんだけど、伸吾は全くそんなことはないな」

「やめて下さい、怜次郎さん。増太郎さん。俺だって少しは・・・・・・ああっ」

 伸吾の声が部屋中に響く。だがその声は甘く、鼻にかかったもの――――――嬌声だ。

「利親さんに仕込まれてすっかり『女』になっちまったお前が何を言っている。女を抱いた後だって言うのにまだまだ物足りなそうな顔をしやがって」

 その言葉とともにがさごそと服を脱ぐ音が聞こえ、明らかにそれと判る淫靡な濡音が響き始めた。

(根っからの淫乱なんだねぇ、伸吾様というお方は)

 きっとほぼ毎日女日照りの男たちがこの部屋に訪れているのだろう。それを気の毒に思った誠五郎がお春達を買い、女二人を抱かせても伸吾の身体は男を求めてやまないのだ。普通だったら嫌がる声なり気配なりがありそうだが、むしろ伸吾が積極的に男達を貪っている気配しか感じられない。

(いや、まだ『女』の味の良さはそれほど解っていないのかもしれない。だからわっちらもこの程度で休ませて貰えたのかも)

山田道場で剣術の稽古に明け暮れても、その性欲は発散されるどころかますます高まっているのだろう。むしろ人斬りの興奮がそのまま性欲に直結しているのかもしれない。

(誠五郎様、ってお方は上客になりそうだけど、伸吾様はねぇ・・・・・・もう少し枯れてから、または同輩らに絞り尽くしてもらった後じゃないと厄介かもしれない)

 鳥追の売笑は、数をこなしてなんぼである。程々の遊びと割り切ってくれる相手は大歓迎だが、性欲の泥濘に引きずり込もうとする客はお断りだ。

(暫くの間、こっちには来ないほうが良いかもしれないね)

 くぐもぐった伸吾の嬌声がお春の耳を聾する。どうやら何かを口に――――――多分誰かの逸物だろう――――――を口に咥えているようだ。更に肉同士がぶつかりあう音も聞こえてくる。あの様子だと伸吾はかなり激しく尻を犯されているらしい。
 ちょっと覗き見たい衝動に駆られたお春だが、さすがにそれは諦め瞼を閉じる。

(明日の朝は日の出前にここを出ないとねぇ)

 明日も仕事はあるのだ――――――襲い来る睡魔に身を委ねながら、お春は眠りに落ちていった。


 暫くの間、この屋敷には近づかないほうがいい――――――そう決意したお春だったが、それは叶わぬ願いとなる。
 某藩御徒・池端伸吾と鳥追の娘・お春・おウメの惨殺遺体が鈴ヶ森で見つかるのはこのひと月後のこととなる。




UP DATE 2017.1.18

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狂乱の宴に溺れること無く、上手く乗り切った――――――お春はそう思ったに違いありません。しかし翌月、彼女たち二人に悲劇が襲いかかることになります(>_<)果たしてそれは痴情のもつれによる心中なのか、それとも嫉妬に駆られた同輩藩士による惨殺事件なのか――――――その答えは2月の連載にてお答えさせていただきますm(_ _)m

それにしても伸吾の性欲の強さ、ハンパない(^_^;)もしかしたら処刑のお手伝いの直後で血にのぼせていたのかもしれません。だからこそ誠五郎も鳥追達を自分たちの長屋に引っ張り込み、更には同輩達に断ることもなく伸吾を抱かせたのでしょう。でないとそれこそ辻斬りをしかねないほど、伸吾の体内にエネルギーが溜まってしまっているのかもしれません(-_-;)そのエネルギーが来月の事件へとつながってしまうのか・・・もう少しだけこいつらに付き合ってやってくださいませm(_ _)m

来週は拍手文更新、この続編は来月1日にUPいたします( ー`дー´)キリッ
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