「紅柊(R-15~大人向け)」
戊戌・春夏の章

鳥追と若侍・其の壹~天保九年一月の欲望(★)

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 将軍代替わり後、初めての松の内は例年になく華やかなものだった。飢饉もだいぶ収まってきており、米の収穫が予想以上だったこともあるのだろう。だが、その恩恵が下々まで行き渡っているかというと、それはまた別の話である。

「本当に金持ちってしわいよねぇ」

 襟と袖口に縮緬をあしらった、艶めかしい鳥追姿をしたお春は、かき鳴らす三味線の手を止めて連れのおウメにぼやいた。
 飢饉は無かったはずなのに鳥追の自分たちを呼び止めてくれるところは相変わらず少ない。否、貧乏に慣れ、節約が当然といったばかりに鳥追が唄う一節への施しさえ渋るのだ。これでは更なる商売――――――春をひさぐことさえままならない。

「まともに払ってくれたのは山田浅右衛門様のところだけだよね」

「そうそう。だけどあそこは次代の奥方様とうちの親方の奥様――――――おすみ様が懇意だからでしょ?そもそもあたしらだって名代で行ったしさ」

 おウメもお春に負けじと大仰な溜息を吐く。とにかくこの日の鳥追は全く儲からなかった。せめて勤番侍のひとりでもだまくらかして金品その他を絞れるだけ絞ることができればまだしも、それさえもできないのだ。

「そう言えば山田様のところでも言ってたじゃん。『このご時世、花街で娼妓を買うのも気をつけないと』って。揚げ足取られて武家の身分を失いたくない、ってことなんだろ。特にあたしらみたいな身分の女にはまると間違いなく家中を追い出されるしさ」

 どこの藩も緊縮財政の真っ只中である。そんな風潮の中、被差別民である長吏やひにんの娘と関係を持ってしまった家臣は有無を言わさず追い出されてしまうのだ。それは彼女らも重々承知しているが、そのギリギリの加減でもって稼ぐのが鳥追の腕の見せ所でもある。尤も、この状況ではその腕を見せるどころではないのだが・・・・・・。

「あ~あ、どこかに居ないかな、かなづる」

 身も蓋もない事をお春が呟いたその時である。

「あれ?もしかしてお春ちゃんとおウメちゃん?」

 若い男の声が二人にかかる。そちらの方を見ると、二人の男がお春たちの方へやってくるところだった。黒紋付に二本差しのその姿は、年礼に回っている武士と見える。

「俺達のこと、覚えちゃ・・・・・・いねぇか」

 若い方の男は探るように二人に尋ねた。

「流石にあの大人数だもんな。一応さ、お師匠様――――――山田浅右衛門の新年会にいたんだけど」

「ああ、あそこに!」

 お春はぽん、と手を叩いた。確かに二人が呼ばれた山田浅右衛門邸の新年会には多くの若者が居た。だがあまりにもその人数は多く、二人の顔をはっきりと思い出すことは出来ない。

「まぁ、仕方ないかな。何せ高弟の先輩方が竹刀片手に俺達を牽制していたから、近づくこともままならなかったし」

 今度は年かさの男が口を開く。どうやら彼の方は顔を覚えてもらっていることは諦めているらしい。だが、その控えめな態度がむしろお春やおウメの警戒心を解いた。

「そうそう、『おすみさんの名代に何かあっちゃ問題だ!』って、仰って・・・・・・流石に奥様本人に何かあっちゃあまずいですけど、わっちらは別に、ねぇ」

 そう言いながらお春は色っぽい流し目を男たちにくれる。

「ええ。本当は特別なお客の一人や二人くらいでしたら、と思っていたんですけど」

 お春の言葉を引き継いで、今度はおウメが粉をかける。すると即座に若い方の男が目の色を変えた。

「そ、それは本当か!だったら俺達の長屋に来てくれねぇか?時間は取らせねぇから」

 そのあまりの余裕の無さに、お春とおウメは思わず吹き出してしまった。

「そんなこと気にしなくていいですよぉ。ひと切りの値段は変わらないんですから」

 多少はふっかけますけど――――――という言葉は飲み込み、お春は嫣然と微笑む。

「じゃあ行こうか・・・・・・あ、でも今日の文の鳥追をやった後じゃないとまずいか」

 流石に年かさの男は二人の『本業』を心配してくれたが、目の前の『獲物』を逃すお春たちではない。ここぞとばかりに仕事は既に終わったことを強調した。

「いえいえ、今日の範囲は終わっちまいましたので、終わりの時間もお気遣いなく」

 あわよくば、一晩の仕事にありつければかなりの収入が見込める――――――舌なめずりしたい気持ちを押さえつつ、お春は愛らしい笑みを浮かべた。



 彼らが住んでいるという上屋敷はすぐ近くにあった。二人の若侍はお春とおウメの二人を長屋門の中に引き入れる。どうやらそのひと部屋に住んでいるらしい。

「あら、もしかしてお二人さんは相部屋なんですか?」

 部屋の荷物を見回して、おウメが尋ねる。

「ああ、うちの参勤は半年に一度で、正月は特に国許からも多くの藩士がやってくるんだよ。だから普段はそれぞれに部屋を貰っているんだけど、この時期だけは相部屋なんだ」

「もし気になるんだったら空き部屋でも探して・・・・・・」

 若い方の侍が気を利かせて別部屋を探しに行こうとするが、それをお春はやんわりと止めた。

「わっちらは大丈夫ですよ」

 そう言いながらお春が大柄な若侍に擦り寄る。すると若侍はぴくっ、と身体を強張らせつつもお春の腰に手を回してきた。

(山田一門の門弟、ってだけじゃなくこれだけの大藩のお侍となると・・・・・・金払いは良さそうだねぇ)

 お春は腰に回された若侍の手を自らの胸元に引き寄せつつ、耳許に唇を寄せる。

「新年早々の寿ぎ、授けて進ぜましょう」

 その言葉を囁いた瞬間、よっぽど溜まっていたのだろうか若侍は獣のごとくお春にむしゃぶりついた。



 敷布団も敷かぬ畳の上にお春を組み伏せた若侍は即座に袂に手をかけ、お春の乳房を露わにする。そして一方の乳房を口に頬張り、もう一方の乳房を掌で揉みしだき始めた。決して大きいとはいえないお春の乳房だが、若侍の強引な愛撫に形をもみくちゃにされる。

(おウメちゃんの方も始めたみたいね)

 お春の視線の先にはもう一人の年かさの侍とおウメが抱き合っている姿が見えた。お春にむしゃぶりついている若侍より五、六歳ほど年上に見える男だったが、その分女の扱いには慣れているらしい。おウメを焦らすような、柔らかな愛撫におウメが甘い声を上げ始めている。

(あれじゃあ身体持たないんじゃないの、おウメちゃん。と言うか、本当に年上好きよねぇ、あの子)

 勢いだけでさっさと事を終わらせてくれる若者を好むお春と違い、おウメは情事そのものも堪能したがる女である。なので必然的にお春は若い男を、おウメは年配の男をという風に役割分担ができていた。今日もいつもの如く、変わらぬ仕事をする事になりそうだ――――――そう、お春が思った、その時である。

「おい、伸吾。そんな力任せに女を抱く奴があるかよ。そんな乱暴な扱いをしているから刀の扱いも雑になるんじゃねぇか」

 そう言いながら男はおウメの首筋に舌を這わせ、わざと淫らな濡音を響かせた。その愛撫におウメは身体をよじり、快楽を更に貪ろうとする。

「そりゃ誠五郎先輩はもてますから」

 伸吾と呼ばれた若侍は不満げに反論するが、誠五郎先輩と呼ばれた男はふん、と軽く鼻を鳴らすだけだった。

「もてる、もてないは関係ねぇよ。どのみちお前はもう少し物事を丁寧に運ぶべきだ」

 そんな説教をしながら、誠五郎はおウメの耳朶を軽く咬む。その瞬間、おウメは頤を仰け反らせ派手な嬌声を上げた。幾らおウメが淫蕩な体質であるとはいえ、まだ着崩れさえろくにしていない状況でこの乱れぶりは異常だ。

(あの男、相当な手練なのかも――――――)

 下手をすると翌日の仕事に響きかねない、そんな不安をお春が抱いたその時である。

「姐さん、心配することはねぇ。やることやったら、ちゃんと寝る時間もやるから安心してくれ」

 お春の心中を察した誠五郎がにやりと笑う。そして更に言葉を続けた。

「伸吾はどうしても一発出したいようだから、先に手で抜いてやってくれねぇかな。その方が落ち着くはずだ――――――どんな手を使ってもいいぜ。そいつのケツを犯してもな」

 精を放たせるためには尻を犯してもかまわない――――――あまりにも乱暴な誠五郎の一言だったが、お春は全く躊躇しなかった。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 あくまでもこれは商売であり、命じられたことは料金の内――――――そう割り切っているお春は若者の股間に手を伸ばし、既に硬直している逸物に指を絡める。そして先走りに濡れたそれをしごき出した。更にもう一方の手で双玉を揉み、時折菊座の方にも指を滑らせる。そんなあまりにも強烈な愛撫に、伸吾は思わず悲鳴を上げてしまった。

「うわぁっ、ちょ、ちょっとそれは」

「先輩からのご命令ですよ、お武家様。わっちが欲しかったら取り敢えずご命令には従ってくださいませ」

 お春がぴしゃりと言い切ったその瞬間、若侍の逸物の先端から白濁が弾け、お春の手を汚した。しかしお春の手の中にある逸物はまだまだ力をみなぎらせ、ひくひくと息づいている。

「おやまぁ、もう果てちまって。でもまだまだ勢いはございますねぇ」

「もう一発・・・・・・いや、二発、抜いてやってくれ。でないと姐さんに怪我をさせちまう」

 おウメを嬲りつつ、誠五郎はお春に命じた。その目には加虐の光が宿っている。どうやらお春を使って後輩の伸吾を嬲り尽くすつもりらしい。

「ふふっ、まるでわっちを使ってお武家様がこちらを犯しているようですね」

「そう思ってくれても構わん。こいつは血の気が多いから、少しは頭を冷やしてからじゃねぇと。女の扱いも試し切りもこんな調子だから困るんだ」

 誠五郎のぼやきを聞きつつ、お春は紙で逸物を拭い再び後輩の男の逸物を握る。そして上下に滑らかに指を動かしつつ、自らの舌先で若侍の鈴口をくすぐり始めた。

「それは・・・・・・やめっ」

 ぬるりとした、舌先の感触に伸吾は女のような悲鳴を上げる。だがお春は容赦なく伸吾の鈴口を舐め回し、軽く歯を立てた。

「情けない。男ならばもう少し耐えてくださいませ。でないと」

 お春は中指の先端を若侍の菊座に宛てがい、軽く力を込める。

「わっちがお侍様を犯っちまってもいいんですよ?って、何を期待しているんですか?」

 お春の言葉に反応した逸物がビクビクっ、とまるで活きの良い魚のように跳ねたのだ。それはお春の魔の手に怯えるようにも、未知なる快楽に期待しているようにも思えた。

「こりゃ、だいぶ溜まっていたようだな、伸吾。だったら先にやらせてやるよ」

 伸吾の反応に思うところがあったのか、誠五郎はおウメの身体に絡めていた腕を解き、おウメの着物の裾をいきなりまくり上げた。

「ひゃあっ!」

 いきなりの行動におウメは悲鳴を上げるが、誠五郎はそれを無視して着物の裾を帯に手挟んだ。

「何が『ひゃあっ!』だ。ちょっと触られたくらいで下の口からよだれをダラダラ垂れ流す淫乱がよ――――――ほら、伸吾の逸物を咥えてやれ」

 誠五郎はそう言いながら伸吾の目の前におウメを座らせ、両足を思いっきり開かせる。すると目の前にはぐっしょりと濡れそぼり、期待に蠢く蜜壺が口を開いていた。

「ほら、伸吾。こっちの姐さんを抱いてやれ」

 あまりに強引な誠五郎の命令だったが、伸吾は素直に頷くと自ら進んでおウメの足を抱え、愛撫もなくそのまま逸物を蜜壺に突っ込んだ。

「はぁうっ!」

 いきなりの挿入だったにも拘らずおウメは甘ったるい嬌声を上げ、自ら腰を動かし始たる。その動きに伸吾はただただ従うばかりである。

「さぁ姐さん、これからがお楽しみだ。伸吾の菊座は既に開通済みだ」

 誠五郎はそう言いつつ、おウメを抱いている伸吾の菊座に指を宛てがった。その指の動きは妙に慣れており、間違いなくこの二人は肉体関係を持っていることを伺わせる。

「もしかしてお武家様が念者、ですかい?」

「いや、こいつの念者は他に居て、俺は浮気相手、ってところだな。尤もこいつの念者は国許に帰っちまってよ・・・・・・女でも問題ないんだが、たまにはこっちもかわいがってやらねぇといけねぇんよ」

 そう言いながら誠五郎は伸吾のひくつく菊座に指をスルリ、と滑らせた。すると思っていた以上にあっさりと指を飲み込んでゆく。否、むしろ一本では足りなさそうだ。

「姐さんもやってくれ。こいつは一人、二人じゃ満足できねぇ身体だ――――――女だったら間違いなく娼妓になっているだろうよ」

 その言葉に背中を押され、お春は恐る恐る若侍の菊座に指を伸ばした。





UP DATE 2017.1.4

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散々おまたせいたしました、今年一発目の『紅柊』はトンデモエロになってしまいました/(^o^)\何故こうなったwww
本当は鳥追と勤番侍の切ないラブストーリーの予定だったんですけどねぇ・・・なんかネタに行き詰まって書き直していたらこんなことに(^_^;)まぁ、キャラが勝手に動く時はそのまま動きたいように動かすのが私のポリシーなので、こいつらにも自由気ままにやらせたいと思っております/(^o^)\
次回更新は1/11、多分伸吾が三人に犯されるんだと思います、この流れだと・・・BLが苦手な方、申し訳ございません(>_<)
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