「紅柊(R-15~大人向け)」
丁酉・春夏の章

露に濡れる女・其の肆~天保八年六月の背徳(★)

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 素月園の、男にしては細い指先が涼弥の菊座に塗り薬を塗っていた。初めて男に触れられる菊座は最初こそ緊張にすぼまっていたが、素月園の手管のせいか、それとも塗り薬のせいか徐々に熱を帯び、綻び始めてゆく。塗り薬には脂の他に何か混じり物があるらしく、涼弥は菊座に言い知れぬむず痒さを覚え、そのむず痒さをどうにかしようと素月園の指を誘うように尻を淫らにくゆらした。

「ようやく第一歩が済んだ、ってところだな。じゃあもう少し奥にも塗るからな」

 素月園は涼弥に一声かけると、中指の第一関節までぬるり、と指を菊座に滑り込ませた。

「は、あぁっ」

 ほんの僅かであるが、本来挿れるべき場所でない部分に侵入してきた素月園の指に、涼弥は思わず声を上げてしまう。そんな涼弥に遠慮すること無く、素月園の指は少しずつ奥へと入り込み、とうとう付け根まで突き入れる形になってしまった。

「まだまだ固いが、将来性はありそうだ。後ろしか嬲っていないのに、前の穴からも涎を垂らしやがって」

 涼弥の菊座をほぐすように指で刳りつつ、素月園は涼弥を煽る。物欲しそうに震える涼弥の蜜壺だったが、素月園は敢えて触れることはせず、菊座嬲りに集中していた。何せ『初物』だ。少しでも乱暴に扱ったら大怪我につながりかねない。

「さ、そろそろ張形を挿れるぞ」

 塗り薬を塗り終えた素月園は涼弥に声をかけるとずるり、指を抜き、一番細い張形を手に取った。そして張形にも潤滑油を塗ると、綻んだ菊座に先端を押し当てゆっくり探るように挿れ始めた。

「っああんっ」

 指とはまた違う、硬質な違和感に涼弥は声を上げる。節くれだったゴツゴツとした感触にまだ快楽を感じるまでは行かないが、違和感の奥底に快楽の種が眠っているような気がする。きっと慣れてくれば快楽を感じるようになるのかもしれない。

「大丈夫か、涼弥?」

「ええ、不思議な感じですよねぇ。まだ違和感だけなんですが・・・・・・なんというか・・・・・・」

 どう説明していいか言いあぐねる涼弥の表情を伺いつつ、素月園はニヤリと笑った。

「へぇ、だいぶ声が上ずってきてるな。最初にしちゃあ気持ちよさそうな顔をしやがって。塗り薬にゃ痛み止め代わりの媚薬が混じっていたが、そいつも効いているのか」

 素月園は菊座に挿れた細い張形を小刻みに動かしつつ涼弥を様子を観察する。媚薬入りの塗り薬や潤滑油の助けがあるとはいえ、最初にしてはかなりすんなり受け入れている。これなら訓練次第で菊座でも男を受け入れられるようになるだろう。

「おめぇがこっちでも男の逸物を咥え込めるようになったら、本物の男で二本差しを味あわせてやろうか?それともさっきの菊弥みてぇに張形のほうが好みか?」

「できれば、両方お願いしたいところですね・・・・・・なんだか癖になりそうで」

 いつの間にか涼弥の腰の動きが大きくなり始めている。更に昂ぶっているようだ。それを確認した素月園は菊座に挿れられた張形をぐるぐると大きく回した。

「根っからの好きものだな。芸妓にしておくのは惜しいぜ」

 素月園は張形を動かす手を止め、抜けないように張形を奥まで押し込める。そして掲げられた涼弥の腰を掴むと、自分の逸物を飢えて涎を流し続ける涼弥の蜜壺に一気に突き入れた。

「おおうっ!」

 ろくな愛撫も受けていなかった蜜壺だったが、尻への刺激でだいぶ出来上がっていたのだろう。すんなりと素月園の逸物を咥え込んでしまった。

「さぁて、これからたっぷりと味あわせてもらうぜ、涼弥」

 素月園は涼弥の尻を左手で鷲掴みにし、腰を動かし始める。そしてそれと同時に右手で菊座に挿れられたままの張形を動かし始めた。初めて味わう淫靡な遊戯に涼弥はあられもない嬌声を上げ、うわ言のように素月園への忠誠を誓った。



 この件をきっかけに涼弥は芸妓を引退、素月園の紹介で友吉の元に仕込み屋の修行に入った。かなり高齢だった友吉は最初難色を示したが、素月園の紹介であること、そして涼弥改お涼の熱意が相当だったことに負けてこれを受けた。そして友吉が病でこの世を去るまでの半年の修業を経て、お涼は独り立ちするようになったのだ。それから一年半、瞬く間にお涼は名うての『仕込み屋』へと成長していったのである。

「さて、と・・・・・・緊縛姿はこんなところですかねぇ。小蝶ちゃんてば心地よさそうな顔をしちゃって」

 膝を固定していた竹竿を外しながら、お涼は妖艶な笑みを浮かべる。そして両方の穴に挿れられていた太い張形をずるり、と一気に抜いた。

「ふぁぁ」

 名残惜しそうな溜息が小蝶の口から漏れる。散々お涼によって嬲られたにも拘らず、若い身体はまだまだ物足りないようだ。とろんと蕩けるような眼差しはお涼を見つめ、乱れた襦袢もそのままに物欲しそうな表情を浮かべている。

「どうやら収まりがつかねぇようだな、小蝶は」

 今にもお涼に襲いかかりそうな素振りを見せる小蝶を、素月園が茶化す。

「そりゃあそうでしょう。幾ら気を遣ったといっても所詮玩具ですからねぇ。本物のぶっとい逸物が欲しいんじゃないかい?」

 小蝶を抱きしめつつ、紅に染まった小蝶の耳朶にお涼は囁く。

「何なら美延屋の若い衆、正五郎を呼んであげようか?小蝶ちゃん、贔屓にしているんだろ?」

 その瞬間、小蝶の目が大きく見開かれまじまじとお涼の顔を見つめた。

「姐さん、な、何でそれを・・・・・・」

「深川界隈のことは全てお見通しさ。尤も正五郎は色男だから人気があるしねぇ。こんな機会でもないと抱いてもらえないよ」

 確かにこんな理由がない限り、別の置屋の若い衆である正五郎に近づくことは出来ないだろう。お涼のひと押しに小蝶は恥ずかしげに頷いてしまう。するとその頷きと同時に隣の部屋から一人の青年が入ってきた。その姿を見た瞬間、小蝶は驚きの表情を露わにするが、入ってきた青年は含みのある笑みを浮かべたままお涼と素月園に頭を下げる。

「待たせちまったね、正五郎」

 逃げ出そうとする小蝶を床に押し付けつつ、お涼は青年――――――正五郎に声をかけた。

「いいえ。そのおかげで良い物を――――――小蝶の本性を見させていただきました。それに美形で名を馳せる『青戸屋の小蝶』をいただけるかもとなれば待つことくらい大したことはありませんよ」

 そう言いながら青年はお涼と小蝶に近づく。

「美形のくせに深川でも指折りの気むずかし家と言われる小蝶が、こんなに淫乱だったとはね」

 正五郎ははだけた胸元からこぼれ落ちる乳首を指で軽く摘む。

「ああっ、そ、そんな言い方・・・・・・はあんっ」

 一応抵抗の素振りは見せるものの、元々快楽の埋み火が体の芯に残っていた小蝶である。憧れていた男の手に嬲られ、小蝶はすぐにあられもない声を上げ始めた。

「じゃあ悪いが、正五郎。約束通りここで小蝶をやっちまてくれねぇか?勃たなきゃお涼に手伝わせるが」

 乱れ始める小蝶を確認しつつ素月園が『相手役』の正五郎に尋ねるが、正五郎は下卑た笑みを浮かべつつ首を横に振った。

「その必要はありませんよ、素月園先生。これもお代のうちと割りきっておりますし、うちの主人にもせいぜい頑張ってこいと言われております」

 素月園の無理が比較的通る理由はここにあった。『主役』の女達は勿論、その相手役の男や彼らの雇い主に対しての金払いがすこぶる良い。それ故に多少の無理を描かれる方は聞いてくれるし、雇い主もよっぽどのことがない限りは眼をつぶる。中には正五郎の主人のように更に稼いで来いと言うものまでいる始末だ。
 そんな素月園の無理を聞くため正五郎は早々に尻を端折り、下帯をずらして怒張した逸物をさらけ出す。そして布団に押し付けられたままの小蝶をお涼から譲られると、その両脚を可能な限り大きく広げ、前戯もなく己の逸物で小蝶を貫いた。

「ああっ!大きいっ!!」

 正五郎の逸物は、並の男のものよりかなり長大だ。しかし既に濡れそぼっている小蝶の蜜壺はすんなりと正五郎の長大な逸物を受け入れた。だがこれだけでは『仕事』にならない。

「先生、こんな感じでいいてすか?」

 どうやら正五郎はこの手の事に慣れているらしい。結合部を素月園に見えるように体位を代えた。いわゆる『松葉くずし』で、小蝶の片足は正五郎の肩に担ぎあげられ、逸物を咥え込んだ蜜壺が素月園やお涼の目に晒される。

「ああ、そんな感じで暫く頼む。できれば後ろも頼みてぇところだが、やっぱり無理か?」

「う~ん、実はちょっと迷っていましてねぇ・・・・・・小蝶ちゃんのこのお尻なら挿れてもいいかな、と」

 物欲しげに息づく小蝶の菊座を親指で撫でながら正五郎は答える。その言葉の内にはかなりゆらぎが垣間見えた。
 色街で生まれ育った正五郎は、子供の頃に衆道を好む客に悪戯半分に犯されそうになり、それ以来菊座を使った行為を忌避していた。だがお涼に誘われこの仕事をこなしていくうちにその忌避が薄らいでいる。更に若くて美しく、なおかつ淫らに男を受け入れる小蝶相手ならばその一歩を踏み出せるかもしれない――――――そんな風に正五郎の考えを改めさせたのは他でもないお涼だった。
 男では到底気が回らない、女性の相手をする男への気遣いをもできることが、素月園との出会いからたった二年で名を馳せるまでになった仕込み屋・お涼の強みなのだ。

「どうやら今回から暫く、陰間を雇わずに衆道ものが描けそうだな」

 正五郎と小蝶のからみを描き続けながら、隣りにいるお涼に声をかける。

「・・・・・・ですね。しかしこの二人だともう一人二人を入れるのは暫く無理ですよ」

 互いに好意を持っていた二人である。暫くは『仕事』とはいえ、他の男や女の入る隙を与えてはくれないだろう。

「てことは、依頼の『田舎源氏』はやはり個別に描け、ってことか・・・・・・できれば、三、四人まとめての素描が描きたいんだが」

「でしたら稲毛屋の松造と美乃吉、青戸屋の小雅に声をかけてみましょう。相手は梅乃屋の仙次郎はどうでしょうか?」

「悪くねぇな。人数が多いから都合を付けるのが大変だろうがよろしく頼む」

 目の前に繰り広げられる淫靡な光景を冷静に見つめつつ、素月園の絵筆はただひたすら動き続けていた。



UP DATE 2016.6.22

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今月は4週にわたって(私にとっての)激エロを書かせていただきました(≧∇≦)/たまにむしょ~に書きたくなるんですよね、何故かwww
ひょんな出会いから涼弥ことお涼の人生はガラリと変わってしまいました。芸妓としてもそれなりに活躍していたと思うんですけど、本人なりに限界を感じていたのかもしれませんね。そんな折、『仕込み屋』という新たな仕事を教えてもらい、その世界に飛び込んでしまいました/(^o^)\しかも芸妓を辞めて・・・うん、お涼は素月園よりも男前だから(^_^;)

そして修行期間こそ半年でしたが、女性ならではの気遣いと観察力でメキメキと頭角を現しております。きっともう数年したら名うての『仕込み屋』になっているかもwww『紅柊』が終わっても、別個でシリーズを作ってみるのも悪くなさそうです♪

来週は拍手文、7月の紅柊はそろそろ猶次郎の恋を取り上げてあげないと、ってところでしょうか(^_^;)未だ独り者ですのでそろそろお嫁さんを見つけてあげないとです/(^o^)\
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