「紅柊(R-15~大人向け)」
丁酉・春夏の章

露に濡れる女・其の壹~天保八年六月の背徳(★)

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 梅雨の雨が薄暗く江戸を包む。そぼ降る、というには少々激しすぎる雨は道を泥濘ませ、人を家に閉じ込めてしまうものだ。それは特に悪所で顕著で、吉原を始めとした遊郭や岡場所では閑古鳥が鳴いていた。
 しかしそんな時期こそ春画師・素月園の稼ぎ時だ。暇を持て余している娼妓や芸妓を呼びつけては春画の題材とし、多くの女達を書き溜める。その手伝いをするのは愛人でもある仕込み屋のお涼だ。
 この日もお涼の仕込みによって一人の娼妓が艶やかに花咲いていた。毒蛇の如き緋色の絹縄で身体の自由を奪われ、媚薬を塗られた乳首は紅色に凝っている。膝の下にくぐらされた竹竿と絹縄で固定された脚は大股に開かされ、綻んだ花弁にも縄が食い込んでいる。だが淫蜜をしとどに溢れさせている蜜壺には何も挿れられておらず、切なげにひくついていた。そんな恥ずかしい格好に固められた若い娼妓の側に座り込んだお涼はその耳許に唇を寄せ、辱めの言葉を耳朶に流し込んだ。

「小蝶ちゃんは本当に好きものだねぇ。こ~んなに大股開かされて、恥ずかしい格好に縛り上げられているのに感じちゃっているなんて。まだ十八なんて信じられない」

 そう言いながらお涼の指は濡れた花弁に食い込んでいる絹縄を軽く引っ張る。するとむき出しになった花芽に縄が擦れ、小蝶と呼ばれた若い娼妓が悲鳴のような嬌声を上げた。

「ああんっ!お、お涼姐様ぁ、意地悪しないでぇ!もっと、もっとぉ」

 小蝶と呼ばれた娼妓は腰をゆすり、更に快楽を貪ろうとする。だがお涼はすぐに手を離し、縄を緩めてしまった。中途半端に刺激された花芽にはジンジンとする痺れだけが残り、気を遣るまでには程遠い。

「お願い・・・・・・お情けを、お情けをくださいませぇ!」

 僅かな快楽の残滓を掘り起こそうとはしたなく腰を揺すり、小蝶はあられもなく泣き叫ぶ。そんな娼妓とお涼のやり取りを見ながら、素月園は顔色一つ変えずに何枚もの素描を仕上げてゆく。

「よし、焦らしはこんなもんかな。お涼、そろそろ張形を挿れてくれ。確か小蝶は・・・・・・」

「後ろの方も大丈夫ですよ。何なら衆道ものの素描も描いちまったらどうですかい?」

 お涼は両手に張形を一本ずつ持ちながら素月園に提案する。

「そうだな。本物の陰間を呼んじまったら高く付くしな。じゃあ頼む」

 事務的にお涼に告げると、素月園は再び素描を描き始めた。その姿は真剣そのもの、目の前で繰り広げられている淫らな見世物に煽られる気配もない。

「本当にお師匠様は絵にのめり込むと色ごとに無関心になりますねぇ」

 お涼は半ば呆れながら太めの、しかもごつごつといびつな瘤が多数ついている張形を小蝶の蜜壺にずぶり、と差し込んだ。そして続けて細めの――――――とはいえ、並の男の逸物くらいはあるだろうと思われる、やけに生々しい形の張形を菊座にこすり付け始めた。すると小蝶は身体を目一杯のけぞらせ、悲鳴を上げる。

「はぁぁんっ、おねぇさまぁ!後ろも、後ろも挿れてぇ!!」

 先程乳首に塗りこんだ媚薬が効きすぎているのだろうか。小蝶は白目を剥きながらお涼に更なる愛撫を要求する。その騒がしさに眉をひそめたのは、この行為を女達にさせている張本人だった。

「煩いなぁ・・・・・・お涼、ちょいと口を塞いでくれねぇか?」

 するとお涼は自らの唇で小蝶の唇を塞いだ。唇は本気で好きになった相手にだけ許すもの――――――普通なら嫌がるはずの行為だが、小蝶は自ら進んでお涼の唇を貪り始める。その姿を見つめながら、素月園は小さな溜息を吐いた。

「・・・・・・まったく、最近の若い娼妓は節操というものがなくて面白くねぇな。言っちゃあ何だが最近は素人の方が面白い」

 小蝶が聞いているにも拘らず、素月園はお涼に愚痴をこぼす。するとお涼は小蝶の唇から自らの唇を引き離し、代わりに小蝶の口に新たな張形を挿しこんだ。そうやって小蝶を満足させつつ、お涼は素月園の愚痴を宥める。

「お師匠様、素人と言っても私達が知っているのは瀬田様のところのお久奈ちゃんだけじゃないですか。あの子は天性の淫乱ですからねぇ。娼妓になったら小蝶ちゃんどころの話じゃありませんよ」

 そう言いながら、お涼は更に小蝶を嬲り続けた。淫蜜で充分濡らした張形を菊座にゆっくり挿入したあと、手を離した事で半分ほど抜け落ちそうになっていた蜜壺の張形を再び押し込んだ。そして菊座に挿入した張形と共に股に通した縄に引っ掛けると、強く縄尻を引っ張りあげ、抜けないように固定した。その際、ぷっくり膨らんだ花芽や濡れそぼった花弁、敏感な尿道までもが縄で擦り上げられ 、小蝶はくぐもぐった悲鳴を上げる。だが、口にまで張形を差し込まれている状況では大きな嬌声を上げることも出来ない。

「確かにな。あれほどの逸材はなかなかいねぇ。俺が知っているのはオメェくらいだな。お涼、お前が初めてここにきた時のことを覚えているか?」

「ええ、忘れもしませんよ。もう四年になりますかねぇ・・・・・・私はお師匠様に色ごとの喜びを教えてもらいましたから」

 ニヤリ、と笑いながらお涼は小蝶の乳首を軽く噛み、舌先でちろちろと舐め始めた。



 それは四年前の梅雨時の事である。雨の中、素月園の向島の寮に二人の芸妓がやって来た。一人は馴染みの芸妓で絵も何枚か描いている菊弥、そしてもう一人は今回初めて来た二十歳前後の若い芸妓だ。

「素月園様。この子に色事のいいところを教えてやってくれませんか」

 菊弥は連れてきた後輩の涼弥にちらりと流し目をくれながら、素月園に頼む。

「へぇ、珍しい。菊弥姐さんがそんな頼みごとをするなんてさ。っていうか、芸妓なんざ色事に無関心な方がいいんじゃないか?色事を覚えて身体を売るようになっちまったら格が下がるだろう」

「ええ、客とねんごろにならないのは構わないんですけど・・・・・・何というのか、唄に色気が足りないんですよ。腕はあるのにお座敷になかなか呼ばれなくって」

 そんな会話をしている横で涼弥と呼ばれた若い芸妓―――――お涼は表情を強張らせていた。憧れの姉分に連れてこられたのは良いが、ここで何をされるのか悪い予感しかしないのだろう。それを知ってか知らずか、素月園は二人に近づき涼弥の顎に指をかけた。

「なるほどねぇ。唄なんざ色事を覚えたからって色気が出るとも思えねぇんだが。ま、これくらい整った顔立ちの娘なら錦絵でも春画でも絵になるだろうよ」

 吉原の娼妓になれば御職も夢ではないだろう、そんな整った顔立ちの涼弥の顔を素月園は覗き込む。すると涼弥は素月園の顔を睨みつけながらぼそり、と吐き出した。

「へぇ。菊弥姐さんがお師匠様だとか先生だとかいうからどんなヒヒ爺かと思ったら、意外と若いんだね、あんた」

 素月園の年の頃としては二十代半ばほどか。二十歳の涼弥よりもほんの少し年上、もしかしたらほとんど同い年かもしれない。それなのに姉分である菊弥が心酔しているのが解せぬし面白くない。そんな涼弥の心の中を読み取ったのか素月園はニヤリ、と笑った。

「まぁな。絵も色事も師匠に厳しく仕込まれたんで、そこそこ若いうちから両方で食わせてもらっているよ。おめぇも渓斎英泉の名前くれぇ聞いたことがあるだろ?俺の師匠だ」

 そう言いながら素月園は涼弥の顎から指を外した。そして隣りにいた菊弥の胸ぐらを掴むと、そのまま唇を貪り始めたのだ。

「・・・・・・!!」

 涼弥が驚いたのは素月園の無礼な行為ではなかった。下手な男など軽くあしらう菊弥が、年下と思われる素月園に唇を許し、あまつさえ恍惚の表情を浮かべている事に驚きを覚えたのである。
 普段の菊弥からは信じられない姿だが、驚く涼弥を他所に二人は互いを貪り続ける。ぴちゃぴちゃと卑猥な濡音が絡みあい、いつしか菊弥の顎は唾液に汚されていた。それでも菊弥はなかなか接吻を止めようとはしない。どれくらいの時間が経過しただろうか、ようやく菊弥を引き剥がせた素月園が涼弥に語りかけた。

「・・・・・・涼弥、おめぇは暫くの間俺達のやることを見てな。普段は澄ましたツラしてやがる菊弥がどれだけ淫乱か、おめぇに見せてやる」

 そう言うと、素月園は床の間に置いてあった箱を引き寄せその蓋を開けた。その中身を見た瞬間、涼弥は目を丸くする。

「どうやらこういうのは初めてみてぇだな。因みに菊弥は全部使ったことがあるんだぜ」

 箱の中に並んでいたのは大小の張形に肥後ずいき、蛤の貝殻に入れられた怪しげな薬の数々に絹で出来ているらしい、艶やかな緋色の縄だった。その中から緋色の縄を手に取ると、素月園は菊弥に命じた。

「菊弥、さっさと襦袢一枚になりな。妹分に色気を教えてやりてえんだろ?だったらてめぇが手本を見せねぇとな」

 聞きようによってはかなり来訪な物言いだが、菊弥はその言葉に素直に従い瞬く間に襦袢一枚になる。そして素月園の足元ににじり寄ると切なげに素月園を見上げる。

「お願いします、素月園様。わっちのこの火照りを鎮めてくださいませ」

 すると素月園は襦袢の上から緋色の縄をかけ始めた。決してきつそうではないが、縄によって括りだされた乳房や閉じられなくなってしまった太腿の柔らかさは妙に強調されている。見せそうでぎりぎり見えない秘所は既に出来上がっているのだろう。むわっ、とした女の匂いが涼弥の鼻にも届き、ちらりと見える太腿に一筋、滴るものがかいま見える。

「じゃあまずはこいつを濡らしてもらおうかな」

 素月園は一本の張形を菊弥の鼻先に突きつける。それは一寸半ほどもある太いもので、緻密に男の逸物の形を再現していた。それを菊弥は何の躊躇もなくしゃぶり始めた。びちゃびちゃとわざと激しく音を立ててしゃぶるその姿は、さかりのついた雌猫そのものだ。

(菊弥姐さん。なんで・・・・・・)

 普段の姉分からは想像出来ない乱れ振りに涼弥は衝撃を受けるが、それとは別の感情もむくむくと頭をもたげてくる。

(わっちも・・・・・・菊弥姐さんを犯したい!)

 自分が抱かれたいとは思わなかったが、目の前で張形にしゃぶりついている菊弥を嬲ってみたいという思いがふつふつと湧き上がってくる。深川一の美声の持ち主で唄も上手い菊弥である。きっと嬌声も美しいに違いない。妹分として、否、女としてあるまじき感情だと思うが、背徳感に満ちたその欲望を自覚してしまうと、押さえつけるのは難しい。

「おい、涼弥」

 不意に素月園が声をかけてきた。

「は、はい!」

 菊弥を犯す妄想を破られ、涼弥ははっと我に返る。

「そろそろ退屈してきたんじゃねぇか?」

「い、いえ。そんなことは・・・・・・」

 涼弥は慌てるが、素月園はにやにやと笑いながら涼弥の心の内を指摘した。

「顔に描いてあるぜ。菊弥の乱れっぷりにあてられちまったと・・・・・・ま、ちょうどいいや。おめぇにも手伝ってもらうからよ」

 そう言って張形にむしゃぶりついている菊弥の口から強引に張形を抜き、そのままうつ伏せにする。そして高々と尻を掲げさせると縄から襦袢を引き抜きむっちりとした尻をさらけ出した。

「ああっ、素月園様お許しを・・・・・・涼弥に見られてしまいます」

 許して、と口では言うものの、身体はまるで反対の動きをしていた。まるで更に見てくれとばかりに腰がくねり、その度に体の奥から新たな蜜がこぼれ落ちてゆく。そんな滴り落ちた淫蜜をすくい上げながら、素月園は濡れそぼった花弁を軽く捻る。

「何を見られるんだ?はっきり言ってみろ。もうとっくに張形にむしゃぶりついているはしたねぇ姿は見られているじゃねぇか。今更見られて恥ずかしい物なんてねぇだろう」

「い、いえ・・・・・・あそこが」

「あそこじゃ判らねぇな」

 今度は充血した花芽を抓る。その強すぎる刺激に悲鳴を上げながら、菊弥ははしたない言葉を口にした。

「女陰が・・・・・・だらしなく濡れてしまって、締りのなくなってしまった女陰が涼弥に見られてしまいます!だから許してぇ」

 無理やり言わされているのに、菊弥の顔は快楽に蕩け、口ぶりも心地よさそうである。むしろ恥ずかしい事を言わされることによって昂ぶっているのかもしれない。

「涼弥、判っただろ。おめぇの姉分は恥ずかしいことをされればされるほど乱れちまう変態なんだよ。特に誰かに見られていると堪らないらしくってな」

 素月園は菊弥の尻を撫で回しながら涼弥に語りかける。

「でなけりゃ、妹分を前にしてこんなに乱れることなんて出来やしねぇ。涼弥、姉分を満足させてやるのも妹分の仕事だ。目一杯やってやんな」

 そう言って素月園は手にしていた太い張形を涼弥に手渡した。




UP DATE 2016.6.1

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五月のかわいらしい新婚夫婦と打って変わって6月は素月園&お涼激エロ話となります/(^o^)\
どうやらこの二人が出会ったのは4年前らしい・・・まるで熟年夫婦のようなパートナーぶりですが、これは相性なんでしょうね(^_^;)
尤も出会った頃のお涼こと涼弥はあまり色気のない芸妓だったようで・・・姉分である菊弥に『色事の修行』のために素月園のもとに連れられてきたようです。尤も乱れちゃっているのはお涼を連れてきた菊弥のようですが(^_^;)
そして菊弥の乱れっぷりを見て、涼弥の中で何かが目覚めちゃったらしいのですが・・・次回、目覚めちゃった涼弥がどんなふうに菊弥を責めるのか、そして更に色の道を極めるために涼弥がしたことは・・・今月が4回にわたってお送りいたします(〃∇〃)
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