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鉄ヲタ夫と歴女妻の鉄道オタク旅

鉄ヲタ夫と歴女妻の鉄道オタク旅~九州縦断強行軍編6

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えびの盆地の淡い緑色の大地は、遥か彼方まで広がっていた。そして盆地を縁取るように木々が生い茂り、盆地の向こう側には霧島連山が青く見えている。その上にあるものは抜けるような青空と僅かに浮かぶ雲だけだ。確かにここまで開けた景色は日本にはなかなか無い。
そう、他の場所の車窓と比べると断トツに美しい景色なのだが、『いさぶろう・しんぺい』の沿線にはこれよりも遥かに美しい景色がいくつもあるのだ。どうやら美しいだけでは『三大車窓』に入れないらしい。その基準が気になるところだがこの場では判らずじまいだった。
だが乗り込んだ撮り鉄女子は、ここぞとばかりに開けたえびの盆地の風景を撮りまくっている。やはり見る人が見ればこの景色の偉大さが判るのだろうか?私は旦那に尋ねる。

「ねぇ。やっぱりこれだけ開けた場所って山の中だと難しいのかな?」

「う~ん、わからない」

どうやら乗り鉄旦那の『車窓から見える景色の知識』は私とほぼ変わらないらしい。そもそも私も旦那も実家が海の近くにある『海の子』だ。熊本を含む山の多い地方の景色にはあまり馴染みがないのである。
それ故夫婦揃って『日本三大車窓』のありがたみもよく解らぬまま、『いさぶろう・しんぺい』はえびの盆地を通りすぎていった。せっかく停車までして写真を撮らせてくれるほどの景色なのに・・・毎度のことながら自分の不勉強を反省する。
そして『いさぶろう・しんぺい』は矢岳駅のSL展示館や木造駅舎である真幸駅に立ち寄ったあと、ゆっくりと終点の吉松へと到着した。時間にして1時間ちょっと、本当に私好みの充実した路線だった。しかもこの路線は明治時代に開通したという古い歴史も持っている。
そんな歴史ロマンいっぱいの『いさぶろう・しんぺい』に別れを告げた私たち夫婦は、次に乗り込む『はやとの風』の乗車時間に間に合うよう、人吉駅以上の速さで駅の階段を駆け上がった。勿論大荷物を抱えて―――これを含め乗り換えはあと2つ、先が思いやられる旅路である。



(4/25~5/1 twitterにて掲載)

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得てして日本人は『三大○○』というものが好きですが、車窓にもそれがあったというのを、この時初めて知りました(^_^;)
肥薩線の中でも山の中を走るこの路線はどこを切り取っても美しいのですが、えびの盆地は山中にも拘らず開けているというのが特別だったのでしょう。あえてこの景色を選んだ鉄道ファンの美意識にこだわりを感じました。
(きれい、というだけなら他にきれいなところはもっとたくさんあった。多分ミス日本のように『美人なだけじゃダメ。中身も重要!』というやつなのかもしれない)

明日からの連載では『はやとの風』をお送りしますが・・・あまり期待はできなさそうです(^_^;)
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