「VOCALOID小説」
見返り美人

見返り美人外伝・櫻花の背徳2(★)

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 銀色の月明かりが窓を通して海斗と芽衣子、そしてリンが眠る寝台に差し込む。その月明かりの下、海斗は芽衣子にのしかかられ、その唇を奪われていた。
 海斗の唇にするりと忍び込んで来た柔らかな舌は海斗を翻弄し、淫らな濡音を立てながら海斗の口腔を犯してゆく。普段は絶対にされない行為に海斗は混乱しつつも、欲望を煽るその舌技に夢中になる。

「・・・・・・ねぇ、海斗」

 一旦海斗を開放した芽衣子が海斗に語りかけてきた。その口の端からは唾液が銀の糸を引き、芽衣子の唇を濡らしている。その妖艶な姿は月の天女というよりは西洋の夢魔といったほうがしっくりくる。だが、淫らな夢魔の唇から紡ぎだされた言葉は、睦言と言うにはあまりにも生真面目なものだった。

「あなた、鮫ヶ橋に潜入捜査をする前に、過去のルポタァジュに目を通したわよね?本棚に何冊かあったけど」

 芽衣子はその生い立ちからは想像がつかないほどの活字中毒である。毎朝届く新聞は元より、この一ヶ月で海斗の書斎にある本の半分は読破しているらしい。リンやレンもそんな芽衣子に鍛えられ、中学校や女学校の編入試験に合格するほどの知識を得ている。
 そんな芽衣子である。海斗が捜査前に知識として仕入れた本にも目を通したのだろうし、特に自分達が元々住んでいた場所のレポートに興味を示したのかもしれない。

「あ、うん。幾つかは・・・・・・」

  芽衣子に尋ねられた海斗は記憶の糸をたぐる。

「そこに書いてなかった?親子やきょうだいが夫婦同然の関係になるって」

 いつの間にか海斗の耳許に顔を寄せていた芽衣子が、とんでもない事を囁きながら海斗の耳朶をぺろりと舐めた。その背徳的な言葉と相まって海斗の背筋に悪寒にも似た快感が走り抜ける。

「た、確かに・・・・・・うっ、めーちゃん、だめだよ。そんなことされたら」

 耳朶を軽く噛み、舌先で海斗の耳の穴をくすぐりはじめた芽衣子に海斗は形ばかりの抵抗を見せる。だがその抵抗は長くは続かず、いつの間にか芽衣子のなすがままに身を委ねてしまう。

「もうその気になっているんでしょ、海斗。何も知らないリンが横で眠っているのに」

 芽衣子の意地悪な囁きが海斗の罪悪感を撫で回し、欲望を掻き立てる。相矛盾する感情がないまぜになり、海斗は情けない表情で芽衣子に訴えた。

「そ、それはめーちゃんが俺を弄んで・・・・・・あっ」

 不意に耳朶を強く噛まれ海斗が小さな悲鳴を上げる。

「あんまり色っぽい声を出すとリンが起きちゃうわよ、海斗。尤もこの子は一回眠ったらなかなか起きないけどね」

 芽衣子は海斗の顔を覗き込みつつ寝間着の胸元に手を差し込み、固く凝った乳首を探り当てる。そして指の腹でそれを軽くつまんだ。

「んんっ!」

 芽衣子の指から与えられる絶妙な刺激に思わず叫び声を上げそうになり、海斗は自らの口を塞ぐ。

「・・・・・・確かに鮫ヶ橋の風紀の乱れは否めない。でもね、きょうだい同志で夫婦になるのはそれなりの理由があるのよ」

「それ・・・・・・は?」

 絶え間なく与え続けられる快楽に息を乱しながら、海斗は芽衣子の次の言葉を促した。

「あそこには女を犯すだけじゃなく、売り物にしようと狙っている他所者が沢山入り込んでくるわ。迂闊な他所者に騙されて売春宿に売られたり、殺されて生き肝を腹わたから引きぬかれたりするよりは、気心の知れているきょうだいのほうが安全なの。喩え世間一般の常識から外れていようともね」

 芽衣子の告白に海斗は頷く。世の中の常識など通用しない場所、それが鮫ヶ橋なのだ。その浅ましさに人々は眉を顰めるだろう。だがそれは生きていくため、命を繋ぐための必要悪なのだ。

「あんな所だったから、レンがリンを守ろうとするのは当然だし、その気持が恋心になってもおかしくない。私も・・・・・・十五、六になったら夫婦になってもいいわよ、ってレンに直接言ったもの」

 その告白に海斗は目を丸くする。

「めーちゃん、それって・・・・・・本当なの?」

「ええ。あそこでは30歳前に命を落とすことがザラだから、子供が無事成長する年齢に達するのを逆算すると・・・・・・遅くても十五、六で子供を生まないといけないの。あの子達の母親もあの子たちが12歳の時に、27歳で亡くなったし」

 事情を説明する芽衣子の声が湿り気を帯びる。どうやらリン・レンの母親と芽衣子は仲が良かったらしい。それ故に昔を思い出し感傷的になったのだろう。

「あの火事に遭っていなければ・・・・・・いいえ、この屋敷に引き取られていなければレンはリンを抱いていたでしょうね。だけど皮肉にも十五歳になる直前に海斗に引き取られた、ってわけ」

 いつの間にか芽衣子の手は熱り立った海斗の逸物に伸び、下帯越しに撫でさすり始めていた。そのもどかしい感覚に海斗の腰は自然と浮いてしまう。

「だめよ、海斗。まだ話は終わっていないわ」

 身体で海斗を煽りながらお預けを食らわせる――――――売られた妓楼で覚えた手管なのか、それとも鮫ヶ橋の生活で覚えたものなのかは判らない。だが芽衣子の愛撫に海斗は完全に翻弄されていた。むず痒さにも似た快感に海斗の腰は悶え、更なる刺激を求めるが、芽衣子は下帯で包み込むように海斗の逸物や双玉を嬲り、海斗を焦らす。

「海斗に引き取られて、進学の機会も与えられて・・・・・・レンは覚悟を決めたんでしょうね。貧民街に逆戻りだけはしない、って」

「それは・・・・・・リンの為?」

 息も絶え絶えになりながら、海斗は芽衣子に尋ねる。

「ええ。貴族とは言わなくても平民の暮らしならリンを餓えさせることもないでしょう。それほどまでに――――――自分の恋心を殺してまでも、あの子はリンを幸せにしたいのよ」

 その瞬間、芽衣子の手が下帯の下にするりと入り込み、海斗の逸物に指を絡みつかせた。既に先走りに濡れた先端を芽衣子の爪先が軽く引っかき裏筋へと指を這わせる。

「もうこんなにして」

 芽衣子は海斗を見下ろしながら、自らの手の中で脈打つ逸物を弄ぶ。そして自らの寝間着の裾を器用に太腿まで割ると、海斗の上に跨った。銀色の月明かりに芽衣子の白い太腿が眩しく輝き、その奥の濡れそぼったひこばえもちらちらとかいま見える。思わず海斗は更に芽衣子の奥を見ようと上体を起こすが、その瞬間逸物から芽衣子の手が離れ、海斗の両肩が芽衣子によって寝台に強く押さえつけられてしまった。

「たまにはこういう風に女側から犯されるのも悪く無いでしょ?」

 銀色の月明かりに照らされ、海斗を見下ろす芽衣子の笑みは、どこまでも淫蕩だった。鮫ヶ橋にいた時でさえどちらかと言うと受け身で、海斗の好きなように身を任せていた芽衣子とは思えない。
 いつもとはあまりにも違う芽衣子に戸惑いを覚えながらも、海斗の身体は芽衣子を欲し熱を帯びている。

「ねぇ、めーちゃん・・・・・・もう焦らさないで」

 思わず芽衣子の腰を掴み、己の腰に引きつけようとした海斗の手を芽衣子はピシャリ、と軽く叩いた。

「そんなに欲しいの?毎晩あんだけ抱いているのに?」

 海斗の顔に鼻先をつけながら芽衣子が詰る。だが、そんな不遜な態度さえ今の海斗には快楽を煽る刺激にしかならない。

「当たり前だろ。こんなに色っぽいめーちゃんを見せつけられて・・・・・・これじゃあ蛇の生殺しだよ」

 芽衣子の頬に己の頬を擦りつけ、海斗は芽衣子が欲しいと恥ずかしげもなくねだった。天を仰ぐ海斗の逸物の先端からはとろとろと先走りがこぼれ続け、今にも精を吐き出してしまいそうだ。

「仕方ないわね」

 芽衣子は軽く接吻をすると、海斗の逸物にゆっくりと腰を落とし始めた。熱く滾る蜜壺が、海斗の先端を飲み込んだ瞬間、海斗は軽くうめき声を上げる。

「ダメよ、動いちゃ」

 芽衣子の蜜壺を感じた瞬間、腰を動かそうとした海斗の動きを芽衣子が牽制する。

「最初は・・・・・・私がしてあげる」

 色っぽい囁きとともに芽衣子が動き出した。その動きに海斗は思わず艶めかしい声を漏らしてしまう。自分で動くのとはまた違う、予測のできない動きは海斗の身体を、そして心を翻弄する。欲望を吐き出そうとすればその動きは止まるし、もう少し芽衣子を堪能したいと思えばその瞬間に芽衣子の動きは激しくなる。全てを芽衣子に支配されたまま、海斗はようやく欲望の迸りを芽衣子の身体の奥に吐き出した。

「ふぅ・・・・・・・」

 さんざん翻弄され、ようやく一息ついた海斗だったが、その瞬間、自分達に注がれている『気配』に気がついた。



 その気配はいつからあったのだろうか――――――もしかしたら今さっきかもしれないし、海斗が芽衣子に翻弄されている間あり続けた気配だったのかもしれない。海斗はその気配の在処――――――リンの方にちらりと視線を向ける。するといつの間にか此方側に寝返りをうっていたリンが布団を頭まで被って寝ていた。否、寝ているふりをしていると言ったほうが正しいだろう。既に寝息ではなく、押し殺した息遣いが布団の中から聞こえてくる。

(まずい。起こしちゃったかな)

 芽衣子の愛撫に思わず声を上げてしまったのがいけなかったのかと、海斗は一瞬反省する。だが、海斗は何か引っかかるものを感じた。
 いつ、何があるか判らない貧民街で育った子供が、横で情事を行っているのに気が付かず熟睡できるものだろうか。しかも畳ではなく同じ寝台の上である。どれだけ気をつけていても揺れは抑えきれない。どんなに眠りが深くても起きないほうが不自然だ。

(そもそもリンが起きないっていうのはめーちゃんが言ったことだし)

 その時、海斗はあることを思い出した。自分が夜遅くに帰ってきてもリンとレンは起きて出迎えてくれるということを――――――。

(じいやはあの二人を起こしていない、って言っていたから自分で起きるんだろうな。となると、玄関の扉が開く音に気がつく子が、横でこんなことをされて寝続けているなんて絶対無理だ。それに・・・・・・)

 幾ら新婚初夜だからといって、芽衣子から情事を仕掛けてくるのもおかしい。リンが新婚初夜の褥に押しかけてきた『お詫び』にしてはあまりにも違和感がありすぎる。

(もしかして・・・・・・そういうことなのか?)

 鮫ヶ橋の女二人の、あまりにも違和感のある行動を鑑み、海斗はある結論に達する。そして未だ自分に跨ったまま息を整えている芽衣子を抱きしめ、その耳に囁いた。

「めーちゃんの嘘つき」

 その瞬間、芽衣子の身体がピクリ、と小さく跳ね上がる。

「本当に鮫ヶ橋の女はタチが悪いよね。俺を『教材』にして、リンに男の落とし方を教えるなんて・・・・・・バツとして男の本気を教えてあげるよ、君にも。そしてリンにも」

 芽衣子にしか聞き取れない小さな声で囁くと、海斗はまだ情事の余韻にふるえている芽衣子の花弁を己の逸物で擦り上げた。





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櫻花の背徳2、今回は全編がっつりエロで行かせてもらいました(๑•̀ㅂ•́)و✧
しかしその間にもめーちゃんにはレンのリンに対する思いや、そういう感情を抱いてしまった事情など、比較的真面目な話もさせているんですよね~(^_^;)まぁ、リンレンの本番でもそこいらへんは書かせていただくと思いますので、今回はさらりと流してやってもらえるとありがたいかもです(#^.^#)

しかし極めて珍しい、というか『見返り美人』では初の攻めめーちゃん。どうやら海斗はその裏の事情も理解したようですが・・・果たしてこのバツはどうなるのでしょうか(*´艸`*)次回更新は3/8、海斗の本気を見せたいものです( ̄ー ̄)ニヤリ
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