「紅柊(R-15~大人向け)」
丙申・秋冬の章

背徳の寺・其の参~天保七年十一月の隠密捜査(★)

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「ほら、須摩!さっさと気を遣って、妾に場所を譲りなさいませ!」

 自らの上で悶える後輩を、嫉妬に燃える目で睨むと、嵯峨は須摩の凝った乳首をこれでもかというほど強く捻った。その瞬間、須摩の身体が派手に跳ね上がり、日寛の逸物を咥え込んでいる蜜壺がきゅっ、と締まる。

「おおうっ!」

 まるで獣の吠えるような、太い声が須摩の口から飛び出す。日寛に背後から犯されながら菊座を親指で嬲られ、更に下から敏感に勃った乳首を抓られたのだ。痛みと快楽が無い混ぜになった刺激の中、須摩は自らはしたなく身体を蠢かせ、瞬く間に果ててしまった。

「日寛様ぁ、妾にもお情けを」

 嵯峨はぐったりとした須摩を乱暴に横に押しやると、自ら進んで四つん這いになり、尻を日寛に向ける。ぬらぬらと濡れ光る割れ目は、まるで妖怪の口のようだ。その中央でひくつく蜜口と菊座は、日寛を欲して淫らに息づいている。

「こんなに蕩けてしまって――――――この淫売が!」

 日寛は乱暴な言葉で嵯峨を辱めると、指で慣らすことさえせず、いきなり嵯峨の蜜壺へ己の逸物をねじり込んだ。しかし、先ほどの行為ですっかり濡れそぼっていた嵯峨の蜜壺はすんなりと日寛を受け入れ、絞り尽くすように締め付け始める。

「はああっ!」

 日寛の乱暴な行為に興奮したのか、嵯峨は耳障りな嬌声を上げながら腰を高々と上げる。あまりにも露骨に男を貪ろうとするその体位に辟易しつつも、日寛はただひたすら腰を動かし、先程須摩にしたように嵯峨の菊座にも親指をめり込ませた。さすがに菊座への愛撫を好む須摩ほど緩くはないが、嵯峨の菊座もいまいち締まりに欠ける。

(ふん、阿婆擦れの婆ぁ共が)

 どんなにすました顔をしていても、服を脱がせば女など同じだ。しかも歳を重ねれば重ねるほど欲望はむき出しになり、吐き気さえ催す。だが、これが感応寺で生きるための義務なのだ―――――――自分より十歳以上も年上の女を犯しながら、日寛はどこまでも冷め切っていた。



 本格的に忙しくなる十二月を前に、大奥女中達の『寺社参拝』は無闇矢鱈に増える。数日前出向いたはずの感応寺、そこへ再び参拝しようとおよそ二十人ほどの奥女中達がやってきていた。さすがに数日前とは面子が違うが、数人は再び参拝している。そんな中、お美代の方の女中に誘われた真希とその後輩・浅木――――――ふみは、それら奥女中達と行動を共にしていた。しかしいそいそと本堂へ向かう奥女中達の中、二人だけはやけに歩みが遅い。それもそうだろう、二人は潜伏前の最終確認をしているのである。

「浅木、あまりきょろきょろしないで」

 落ち着きなく周囲を見回すふみに真希は注意を促す。

「も、申し訳ございません」

 実は今回が御庭番としての初仕事であるふみは、真希の注意に反射的に頭を下げた。

「まぁ、状況が状況だから仕方ないけどね・・・・・・誰でも良いけど、できればそこそこ位の高い僧都を狙いなさいよ」

「は、はい」

 しかし、狙うと言っても果たしてそう上手くいくのだろうか――――――不安を覚えつつも、ふみは少し落ち着こうと大きく深呼吸をする。

「ところで、真希さんは・・・・・・」

「しっ。ここでは吉野とお呼びなさい」

 真希の小声の叱責にふみは肩を竦める。

「申し訳ございません。吉野様は・・・・・・このようなお勤め、旦那様に嫌な顔をされないのですか?」

「嫌な顔も何も、御庭番に生まれたものの宿命だからね。気にしていたらやってられないわ。それに今、賢五郎さんは間宮様と共に九州あたりをうろついているはずだから、それどころじゃないしね」

 安い俸禄でこき使われているから夫婦で働かないとやってられないのよと真希はくすり、と笑う。

「だからあなたも心配することはないわよ。お父上の間辺様も覚悟をなさってたし」

「はぁ」

 確かに仕事となれば、家長である父親にも話が行くだろうが、捜査内容が内容なだけに気恥ずかしさを感じずにはいられない。ふみは耳まで真っ赤になりながら真希の横にへばりつく。そうこうしているうちに二人は本堂の前に到着した。『本当の目的』はともかく、さすがに説法は行うらしい。

「あまり面白くないって話だけど、我慢しましょう」

 真希の言葉に、ふみはようやく微かな笑みを見せた。



 説法が終わると他の女中達は奥の部屋に次々に通された。奥女中達の私語の内容からすると、そこで『行為』が行われるらしい。真希もお美代の方の女中たちに誘われるままに奥へと向かったが、ふみはどうしても奥の部屋に入ることが出来ず、厠に向かうふりをして、庭に逃げてしまった。

「戻らなきゃ・・・・・・いけないのに」

 真希一人に仕事を負わせる訳にはいかない。一刻も早く戻らねばならないとふみは意を決する。が、無我夢中で庭先に出てきてしまったが為、本堂へ戻る道を見失ってしまったのである。慌てて庭を進むが、進めば進むほどますます向こう側にそびえ立つ建物から離れていく気がする。

「ど、どうしましょう。戻らなきゃいけないのに」

 完全に道に迷ってしまい、オロオロとしていたその時である。

「お女中。どうなされました?」

 庭木の向こう側から何者かがふみに声をかけてきた。その声の方に振り向くと、庭木の隙間から一人の若い僧都が見えた。どうやら庭を清掃中だったらしく、手には箒を持っている。僧都にしては整いすぎているその顔立ちに一瞬驚くが、ふみはすぐに気を取り直し、事情を語り始めた。

「じ、実は御庭があまりにもきれいでしたので、こちらに降りて見させていただいていたのですが・・・・・・どちらに行けば本堂に戻れるのか判らなくなってしまいました。先輩がいるのに放ったらかしで」

 今にも泣き出しそうな声で訴えるふみに、僧都は優しく語りかける。

「もしかしてこちらには?」

「初めて参りました。本堂の奥で、その・・・・・・色々行われるからと、お誘いを受けまして」

「ああ、『天悦』ですね。あれは毎度のことですから」

「てんえつ・・・・・・というのですか?」

 小首を傾げるふみに、僧都は何かを察したのか、微かに微笑んだ。

「貴方様はあまりそういうこととはご縁がなさそうですね。もし良かったら皆様がご帰還の準備が整うまで、庫裡にいらっしゃいませんか?冬の庭は人を待つには寒すぎるでしょう。お茶を点てて進ぜましょう」

 どうやらふみが本堂の奥で行われる行為に怖気づいて逃げてきたのだと察したらしい。僧都は無理をすることはないとふみを庫裡に誘う。

「良いのですか?ではお言葉に甘えて・・・・・・」

 淫靡な宴の場所に入り込まずに済むかもしれないと、ふみは思わずその僧都の言葉に乗っかってしまった。



 奥女中達が本堂の奥へ入り込んでからおよそ二刻後、すっきりした顔の奥女中達は江戸城へと帰還した。

「浅木。あなた逃げたでしょう。いつの間にか消えていなくなって」

 本條への報告の席で、穏やかながらも厳しい真希の一言にふみは項垂れる。

「申し訳ございません。一旦庭に逃げ出し、戻ろうと思いましたら道に迷いました。その際、日寛という僧都に助けてもらい庫裡に案内されまして・・・・・・そのまま戻る機会を逸してしまいました。次回こそは必ず」

「日寛、だと?」

 ふみの口から『日寛』という言葉を聞いた瞬間、本條が眉をひそめる。

「本條様、何かお心当たりでも?」

 本條の表情に気がついた真希が尋ねる。

「旗本の不良息子ながらなかなかの遣手と聞き及んでいる。将来的には感応寺の副住職か、自らの寺を持ちたいとも公言しているらしいな。複数の高級女官を籠絡し、布施とは別に自らにも貢がせていると聞き及んでいる。そのような野心家が何故、奥女中としては身分が低い、若い浅木に声をかけたのか・・・・・・庫裡で特に変わったことはあったか、浅木」

「いいえ。ただお茶を点てて下さり、私を飽きさせないようにとずっと傍に居てくださいました」

 すると真希が何かを思い出したのか口を開いた。

「そう言えば、東雲殿が日寛とかいう僧都はいないのかと喚いておりましたな。となると、『得意客』を放ったらかしにして浅木の相手をしていたということになります、か」

 真希の真剣な表情に本條も緊張の面持ちのまま頷く。その二人の顔を交互に見つめるふみが、もしかしたら一番状況を理解していないのかもしれない。

「将来を見越してのことなのか、それとも単に若い娘に食指が動いただけなのか・・・・・・」

「どのみち浅木が生娘だということが生きてくるやもしれぬ――――――浅木!」

「はっ!」

「日寛とやらにに近づき、諸々の話を聞き出せ。そしてあったことを全て報告するように。向こうもお前を利用してこようとするかも知れぬ。その判断は我と吉野が下す」

 さすがに敬虔が乏しい、十六歳のふみでは心許ない。しかし、話を聞き出すことでふみが冷静に仕事をしているか、それとも日寛に溺れているか判断することは可能だ。

「承知」

 その声は淫らな行為に怯える生娘のものではなく、御庭番そのものの怜悧な声だった。




UP DATE 2015.11.18

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『背徳の寺』第三話です♪今回は本当に登場人物紹介、ってだけで終わってしまいましたね(^_^;)これから年に1~2回ペースで彼らも出していく予定ですので、細かい名前は追々覚えていって下さるとありがたいかもです(*^_^*)
(因みに次回は来年の4~5月くらい、藤かあやめの花見にかこつけて、との予定)

今回初めて本格的に登場しましたふみですが、彼女が日寛に付くことになりました。一方真希は複数の僧都を広く浅く網羅していくことになるでしょう。なお今回初めて判明しましたが、真希は既に人妻ですwwwしかも旦那は間宮林蔵と長期出張に出向いているという・・・平和な時代ではありましたが、結構全国各地回っているんですよね~幕府の御庭番って。しかも結構派手な『表の仕事』もしていたりしますし・・・松尾芭蕉の『奥の細道』、間宮林蔵の間宮海峡の発見などもそのクチです(*^_^*)

次週は拍手文更新(つまべに草子最終話)、紅柊12月話は五三郎&幸のイチャラブでもかきたいな~と目論んでます❤
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